日本人が世界で活躍するための3つの壁

最終更新: 2019年9月14日

■会社名 株式会社グローレン


■インタビュイー 代表取締役 香坂公嗣氏

■edulio導入時期 2013年8月頃


■法人概要 設立:2013年5月


事業内容: ・コンサルティング事業(教育研修・制度設計) ・E-learning事業 ・アセスメント事業(能力診断) ・多言語翻訳クラウドソーシングサービス「ほんやくびと」運営

■初めに事業概要をお聞かせください

本業は企業向けの教育事業を展開し、海外進出または外国人相手に仕事する方々に向けた教育をメインに提供しております。例えば、日本国外に展開されている企業の方や、日本国内においても外国人がお客様であるといった企業の方々の教育です。

内容は、まず語学を含めた能力開発です。また、人材の各種能力診断も行なっています。自身が持つ能力を把握することで、教育プログラムの効果性を可視化し、社内の人事評価制度等へもフィードバックしていきます。

また企業内部の人事制度設計も併せて行っています。企業の戦略実現のためには、会社のビジョンや戦略を遂行できる能力をもった人材が必要になります。同時に戦略実行の中心となるタスクにウエイトを置く仕組みや、実行に向けた活動・成果を適正に評価する仕組みが必要です。そのためには、人材開発と合わせて制度設計も非常に重要になってきます。 このように、能力を診断することで「分析」し、教育プログラムで「育成」をして、制度設計を行うことで適正に「評価」するという3段階のフローを主な事業としています。

教育事業としては、講師の派遣での提供や、eラーニングによる提供もありますが、学習動画や学習ツール、業務マニュアル(動画)等の作成をご依頼いただくケースもあります。

講師派遣型以外の部分を少し細かく言うと、「モバイック」と「iGate」というedulioのシステムを使ったeラーニング学習サービスと「ほんやくびと」というクラウド翻訳サービスを提供しています。

モバイック」はTOEIC学習に特化してパッケージングしたコンテンツを提供するサービスであり、一方、「iGate」はお客様のご要望に合わせて必要なコンテンツを当社で作成し提供する、カスタマイズ性の高いサービスです。例えば、営業の方が英文のeメールの書き方を学習するコンテンツの場合、その企業が普段の業務でどのような内容のメールを送っているのか、またはどういったメールを送る傾向があるか伺ったうえでeラーニングのオリジナルコンテンツを作ります。

ほんやくびと」はクラウドソーシングの翻訳サービスで、世界各地にいる翻訳家と翻訳してもらいたい方をつなぐサービスです。WEB上で翻訳のデータを依頼していただければ、翻訳する文字数がカウントされ、文字数に応じた見積もり金額が出て、世界中にいる翻訳家たちが翻訳してくれるマッチングサービスです。

■今の事業を始めたきっかけや思いをお聞かせください

当社を設立して5年ほど経ちますが、20歳頃に「35歳で起業する」と会社設立の期限だけは決めておりました。その期限から逆算して会社設立に向け、複数の企業で色々な仕事をしていました。

起業の意識はずっと持っていましたが、現在提供しています教育事業への想いや課題意識は大手情報通信会社であるロイター通信に在籍していた時に感じたことがきっかけです。

ロイターは当時世界に6万人ほど社員がいたのですが、日本法人の社員は、僅か500人でした。しかし、社員数の比率は少ないにもかかわらず、売り上げの規模では北米に次いで2番目でした。つまり、とても生産性が高かったのです。

人数が少ないにも関わらず売り上げが高いため、「なぜ日本人は生産性が高くて優秀なのかを知りたい」と、色々な外国人が日本オフィスに見学に来ていました。

仕事の仕方、勤勉さ、チームワーク。色々な角度から見た時に、確かに日本人はパフォーマンスを上げるのがとてもうまいですし、実際に仕事はとてもできると思います。そのような経緯から、「日本人は優秀だな」と思っていたのですが、ふと会社のボードメンバー(役員)を見ると、6万人の組織を束ねている役職の中に一人も日本人がいないことに気づきました。私がいた当時の日本法人の社長もアメリカ人でした。

様々な人種がいる組織の中でも日本人は生産性が高く優秀であるのに、なぜ上に行けないのか?と疑問に思い、これについて考えた際に、問題となる「3つの壁」が見えてきました。


1つが言語の壁。 例えば英語が苦手、話せないという壁です。


もう一つは文化・習慣の壁。 日本人にとって当たり前の習慣や風習が、外国人には当たり前ではないということです。もちろん逆のケースもあります。


もう一つは多言語のなか自分の強みを発揮できるかどうかの壁です。 文化と言語の壁が合わさることで生まれる壁です。

これが3つの壁です。

例えば、日本人は「言わなくてもわかるだろ」という文化があります。しかし、この文化は日本特有のマイノリティなもので、日本以外の国からすると違います。(文化の壁)

海外では「言わなくてもわかるだろ」は通用しないため、「言わなきゃいけない」文化に適応しなくてはいけない点が、日本人にとって大きな壁と言えます。

逆に、これができれば日本人の活躍できる可能性は高まると言えます。

他の壁についても同様に、根本的な問題というよりは、能力開発や「知ること」「対応すること」で解決される問題であると言えると思います。

これさえクリアすれば、世界で活躍できるポテンシャルはあると感じ、教育という形で課題解決策の提供ができないかと思ったのが今の事業を始めたきっかけです。

■eラーニング導入にあたってのきっかけや判断材料・判断基準をお聞かせください

eラーニングを導入した目的は2つあります。

一つは、東京以外のお客様へ遠隔でサポートするためです。当社は東京にしかオフィスがないため、講師を派遣するにはどうしても限界がありました。

もう一つが、通常の対面式での教育に「反転学習」を取り入れることを考え、事前にインプット学習を進めてもらうためです。

「反転学習」とは、あらかじめ各自でインプット内容を確認してもらい、対面での教育時にはアウトプットを中心にして活用しましょうという学習形態です。

なぜ「反転学習」を重要視するかというと、例えば英会話スクールに週1回60分通うとします。この勉強量は、月にすると4時間です。しかも、一般的なレッスンでは、教室に行ってから「では今日はこれをやります、テキスト開いてください」とインプット学習から行いますので、とても無駄が多いです。自分一人でできるインプット学習は対面教育時に行う必要はありません。このインプット学習をeラーニングに置き換えてしまえば、対面でのトレーニング効率が上がり学習効果も高まります。実際様々な研究結果も出ていますので、このような形でeラーニングを活用する事も必要だと思っていました。

導入の判断材料や判断基準に関しては、操作や編集が簡単に行えるかどうかという点を重視しました。具体的にはどのように学習履歴を取得でき、どういう風に学習コンテンツを作れるのか、などです。動画掲載や学習コンテンツの編集が煩雑では非効率ですので、この辺りは重要視しました。また、保守管理の観点から、サーバーやメンテナンスにかかる固定費が安価かどうかも考慮しました。

■edulioの導入理由、導入を決めたポイントをお聞かせください

元々松野さん(弊社代表)と共通の知人がいて、その方から松野さんを紹介していただいたというのがedulioを知ったきっかけです。

edulio導入を決めたポイントは、直感的に操作できること、また機能のシンプルさとコスト(固定費)が安価だった面が大きかったです。

他のLMSには、多機能性であっても使い方が複雑なため使いにくいものが多くありました。また、社内にサーバー設置が必要なタイプがありましたが、当社がそれを購入してシステムを準備・管理しなければいけませんが、それを当社で運用するのは難しいと思いました。

他に検討したサービスには、スマートフォンアプリを活用できるシステムもありました。アプリにも便利な面はありますが、運用コストがとても高いといったデメリットがありました。条件を絞り込んでいくと、最終的にはedulioに絞られました。

■導入先事業の解説・導入後のエピソードがあればお聞かせください

社内の声では、edulioは学習動画さえ自社で用意できれば、簡単にシステム内で編集ができるので使いやすい点が好評です。

コンテンツを作って載せると言っても、どう載せたらいいか、どういう風にIDをタグ付けしたらいいかといったところがある程度簡単にできないと困るのですが、edulioは直感的な操作で簡単にできます。

また、当社のお客様がオリジナルのコンテンツを作りたい時もedulioを活用させていただいています。

実際には、大手のホテル様で、従業員向けの教育でこれまで対面で実施してきたものの中で、ある程度共通の部分をeラーニングにしたい、という要望をいただいたことがあります。

その時に他社のeラーニングシステムでは、学習動画の作成からシステムへの設定、学習者へのアクセス権の付与など全て自社でやらないといけません。

しかし、edulioを使っている当社に依頼していただければ、動画を作った後にシステム上に乗せて、すぐにお客様が使用できるので、カスタムの依頼がしやすいと思います。edulioを使っているとそういった対応も可能なので、お客様から喜ばれています。

■edulioでそのほか気に入っている機能やポイントがあれば教えてください

繰り返しになりますが、操作は直感的で簡単、動画コンテンツも手軽に作れ、メンテナンスがしやすく、サーバーの固定費も安いので運用コストも安く抑えられる、という点はとても良いと思います。機能的には今のままでも当社が要求している水準を十分満たしています。

他のポイントで言えば決済も便利です。BtoCで考えた場合、当社から請求書を発行しなくてもその場(サイト内)で決済ができるシステムは本当に楽です。

また、edulioは単元を多く区切れる点が良いと思っています。当社は動画学習を進めているので、「動画を見て問題を解く」「動画を見て練習する」という構図にすることが多いのですが、人が動画に集中できる時間は3分程度が限界です。そのため、短い動画をたくさん作らなければいけないのですが、多くのチャプター分けが可能であるととても便利です。

また、コンテンツと各IDの割り振りの際には直感的に「Aさんにはこれを見せる。Bさんにはこれを見せない」と操作できる点や、練習問題で制限時間を区切る設定も簡単にできる点もいいですね。

要望があるとすれば、インターフェースのカスマイズなど今後の拡張性というか機能の拡充があると嬉しいです。

おそらく、これまでも制限時間設定の機能や、決済システムなど様々な機能を追加されてきましたので、今後もアップデートしていく中で私たち実際のユーザーから話を聞きながら一緒に考えてアップデートしていってもらえると思っています。

■eラーニングの可能性やメリットについてお聞かせください

eラーニングには良い点と悪い点、両方あります。

良い所は、受講者が好きな時間に好きな場所で学習ができるという点です。

悪い点といいますか欠点を挙げると、インプット学習しかできない点です。本当の能力開発にはやはりインプット学習だけでは足りず、アウトプットもしないと定着化しません。しかし、今のeラーニングの機能だけを考えると、アウトプットの練習ができません。

そのため、eラーニングを利用しながらアウトプットの機会をどのように持つのか、というのが課題になります。

今後、すべての学習がeラーニングに置き換わるようになることは考えにくく、講師によるアウトプットの部分も学習効果を上げるためには必要になってくると思います。対面学習の効率・効果を上げるため事前インプットにeラーニングを使い、アウトプットは対面学習で補う。そういったブレンド教育というものが今後も次々と生まれるのではないかと感じています。

また、当社では今まで基本的にeラーニング自体を日本人向けに考えてきました。しかし、今の日本は外国人の労働者がものすごく増えてきています。

例えばホテルのバックヤードの清掃やベッドメイキングという業務は、今はほとんど外国人が行なっています。でも彼らは日本語をほとんど理解できないため、そういう方たちに日本人の従業員がOJTで仕事を教えることは難しいです。

そうした際に、iPad等を使って多言語対応のeラーニングで業務や手順を学べるようになると、とても汎用性が広がるし受講者の幅も広がります。どの国の方にも、1個の動画で字幕を変えるだけで教えられることができれば、大きな可能性を感じます。

■今後の事業や最後にお伝えしたい思い等がございましたらお聞かせください

当社は「どう社会と向き合うか」を大きなテーマにしており、当社のミッションであり私のやりたい事としては、一つでも多くの社会課題を当社の事業を通して解決したいという想いがあります。その一つの方法が現在の教育事業です。

私の想いは、最初にお話ししたように「日本人が世界で活躍するためには」というところにあり、法人向けの教育を提供していますが、いまは子供向けの教育提供も別に始めています。

子供向けといっても、学習塾への通学や家庭教師をつけて勉強するといった方法がとれない、経済的に恵まれない子供たちに対しての英語コンテンツの提供です。

実際に塾とかにはいけない子供たちを対象に提供し、その子供たちは3ヶ月間で英語でプレゼンテーションができるようになっています。 子供向けに教育を始めた目的ですが、先ほどお話した日本人が活躍できない3つの壁は、元を辿れば子供のころからきちんと教育できていれば、わざわざ大人になってから教育する必要はありません。

しかし、この教育を高価な教育、高等教育のなかで提供しても意味がありません。誰でも受けられて誰でも享受できる、誰でも身に着けられるものにしていかないと社会課題である「教育格差」が生まれてしまうからです。

この事業を公教育の中に定着化できるようになれば一番良いと思うので、今後はいかに今あるコンテンツやプログラムを公共性の高いものに内包していくか、というのが一つの大きなビジョンですね。

あともう一つのビジョンとしては、今までは企業向けの教育だけだったのですが、もう少し枠を広げて日本に来た外国人たちが日本の企業で働き、日本の社会にうまく適応するというところに関しても、何かしら教育を通して提供しないといけないと思っています。

日本は今後ますます人口が減っていき、同時に生産人口も減っていきます。そう考えた時に、高齢者を活用するか、ITを活用するか、外国人を活用するか、女性の活躍できる場を広げるのか。このような選択肢しかないと思います。

高齢者や女性の活躍はもちろん考えないといけませんが、外国人の活用が日本にとって今後は必要になり、外国人の労働者が増えていくと思います。

ただ今の日本の政策を見ると移民の規制は強く、いまだに技能実習生は現場の作業などで滅私奉公的に働く人だけを受け入れる形が主体です。

本来は、これではいけなくて、外国人が日本に来た後にしっかり高度人材として定着化してもらえるような施策を打っていかないといけないと思います。そのためには、外国人が日本に来た時に活動できる、平等に働けるものを作れるようなコミュニティ、教育基盤を作っていくべきだと思っています。

それはもしかしたら日本語教育、または文化教育かもしれません。色々なものがあると思います。そういったものを提供していくことも今年以降のテーマ、ビジョンになります。

■本日はお忙しい中ありがとうございました

こちらこそありがとうございました。

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