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【メイドプログラミングスクール】気が狂いそうになった独学の末に着想

最終更新: 2019年9月14日

今回インタビューに伺ったのは、東京都渋谷区でメイドさんと一緒にプログラミングを勉強する「メイドプログラミングスクール」を運営するMadeInMaidFamily主宰の若月雅奈さんです。

『「メイド」と「プログラミングスクール」・・・?』と感じる方も多くいらっしゃると思いますが、まずは会場の様子をご覧ください。

いかがでしょうか?メイドさんと参加者が一緒にパソコンを広げプログラミングを行うメイドプログラミングスクール。ネーミングインパクトと訴求力が強いイベントですが、どういった内容なのか?また、なぜこの企画を思いつき実行に至ったのか?ぜひご覧ください。

プログラミング学習の孤独感と、元メイドさんの悩みの融合

MadeInMaidFamily主宰の若月雅奈さん

— どうぞよろしくお願いいたします!まずはメイドプログラミングスクールを始めた経緯を伺いたいのですが、Twitterプロフィール(@suzuki_kenzi)を拝見すると、「不登校、ゲーマー→ニート引き篭もり→マジシャン→オフ会運営→メンタリストDaiGoマネジャー→店舗経営→リアル謎解きゲーム、人狼→メイドイベント」と、以前までもさまざまな経験をされているのですね。

よろしくお願いします!そうですね、これまでいろいろなことをやってきまして、例えば「メンタリストDaiGoマネジャー」については、もともとメディアに出て有名になる前のDaiGo氏とプロデューサーと知り合っていましたが、彼のブレイクに大きく影響した「笑っていいとも」に出始めの時期にたまたまプロデューサーと再会したことがきっかけです。

偶然彼と会った際に『これから、笑っていいともに出演するけど、スタジオアルタに一緒に行く?』といわれたのでついていきました。テレビ収録に興奮していたら帰り際に、『じゃあ、明日は××で仕事だから!』と翌日の予定を聞かされ面白半分にその後もついていったのですが、気づけば週の大半をテレビ局や全国のホテルディナーショーについていく流れになり、結局1年半ほどの期間マネジャーとして関わっていました(笑)

また、その当時SNSサービス「mixi」がとても盛り上がっていて、mixiを利用したオフ会の運営などもしていました。オフ会運営につづいて謎解きゲームや人狼ゲーム関連のイベントを開催し、その際にメイドさんとの関わりが増え、いまにつながる部分にもなっています。

— mixiが大変な人気の時期ありましたよね。メイドさんとの関わりもイベント運営ですでにあったとのことですが、プログラミング学習はどういったきっかけから始めたのでしょうか?

多くのイベント運営をしながらも、「いまの自分の能力ではこれ以上の結果が出せないな」と限界を感じるようになりました。同時になにかスキルを伸ばす必要性を感じ目指すべき分野を調べていると、IT企業が多額の資金調達を行ったニュースが多くありました。イベント開催していた当時もプログラマーに関わってもらいネットで宣伝していたのでITの力の凄さは実感していました。また、ちょうどVRがフィーチャーされはじめた時期でもあり、人狼や謎解きといったリアルゲームにも今後VRは大きく影響すると予測し、この分野を学ぶ必要性を感じ一度ITの勉強をしっかりやろうと決めました。

そこで、いまメイドプログラミングスクールの開催にスペースも借りている GIFTED WORKS(プログラミング、デザインを学べる就労支援施設&スクール)に通うことにしました。当初の計画では数年かけてプログラミングを勉強しIT企業で働きながら、再びアクションを起こすスキルと資金を蓄えようと思っていましたが、GIFTED WORKS で知り合った方に「一緒にやりましょう。お金の心配はいりません、資金も出します。」と強くいわれ、ではやりましょうという運びになり、メイドプログラミングスクールを始めることになりました。

— 「メイド」と「プログラミング」を組み合わせる発想は、どのように生まれたのでしょうか?

僕はオフ会開催をしていたころからさまざまな要素を組み合わせ独特なアイディアを形にしてきました。オフ会であれば、「高身長男性好きオフ会」「日韓交流会」「コスプレオフ会」、謎解きゲームであれば「カップル謎解き」「飲み放題謎解き」などです。このように、王道のオフ会や謎解きだけでなく、別の要素をつけることで集客していました。

当時関わりが強かった「メイドさん」をひとつのテーマに何かしたいとずっと考えてはいましたが、普通のメイドカフェでは生き残ることはできないと思っていました。また勉強を始めたプログラミングをテーマにしても、プログラミングスクールはすでに多くあり普通に立ち上げても絶対に既存スクールに勝つことはできません。そこでメイドとプログラミングと組み合わせるのはどうかと思いつきました。

また、プログラミング学習を始めた当初、強い孤独感を味わったことも大きく影響しています。初心者で何もわからないなか毎日ひとりで勉強を続けていましたが、「エラーの原因を一日中調べても何もわからない」とか「結局大文字と小文字の1文字の間違いだった」など日常茶飯事であり、気が狂いそうになりました(笑)

プログラミング学習が楽しいと感じるようになったのは、プログラミングスクール運営をいま一緒にやっている方とGIFTED WORKS で知り合い話すようになってからです。「これわかりますか?」「それはこうじゃない?」「さっきのコードだけど、調べたらわかりましたよ」と、2人で話しているだけで、ひとりきりで勉強しているのとまったく違うと感じ、「やはり人と話さないとダメなのではないか」と思いました。

また、ひとり勉強しながら「(おかしいな、女の子と接点がないな。これは、プログラミング学習をしている際も女性と接点があった方が良い。僕がこう思うのだから、他の人もそう思っているはずだ!)」と思っていました(笑) 黙々と勉強をしたい人もいるかもしれないですが、オフ会などのイベント主催で毎回女性参加者がいたことに慣れすぎていたため、身近で女性と接点があるのが僕のなかで当たり前になっていたせいですね(笑)

— 以前までの仕事環境と振り幅がありすぎて、違和感が強かったのですね(笑) 

それは男性側の考えになりますが(笑)、メイドさん側の問題としても、謎解きゲームなどのイベントで以前雇っていたメイドさんがその後結局みんなメイドを辞めて、普通の仕事をするようになった話をたくさん耳にしていました。そのうちの一人が結局普通の仕事をしたけど仕事の内容が合わず、手に職つけたいとプログラミングスクールに通い始めた話も聞きました。でも、スクール受講料は結構な価格であり、仕事のある日はスクールを休まないといけない場合があるなど、大変な様子らしいと。

そこで、「ちょっと待てよ。ならば、メイドさんをやりながらお金を稼ぎつつ手に職つけることができれば、もし年齢などの理由でメイドさんを続けられなくなったとしても、スキルが身についている。これは無駄がないぞ!」と思いました。これがメイドプログラミングスクールのアイディアを思いついた経緯です。僕自身の事情や体験、メイドさんの話、いろいろな要素が組み合わさって「これは世の中に必要なのではないか?」と思いが膨らみ、いまも続けています。

教え、教えられる寺子屋形式

— スクールの内容についてご説明をお願いします。

土曜日または日曜日の13時から16時を第一部、そして17時から20時を第二部と、3時間のイベントとして1日に2回開催しています。勉強する言語はVR開発に必要なUnityをメインに初心者向けを学習範囲にしています。3時間のタイムスケジュールですが、最初の2時間は公開されているUnityのチュートリアルやおすすめしている書籍などの教材を中心に各自がそれぞれのペースで学習する流れがベースになります。残りの1時間はもちろん学習をするのも自由ですが疲れた人は交流タイムに入る構成にしています。

基本的に、毎回参加者や当日のメイドさんが絶対同じメンバーではないので、進捗はバラバラになります。そのため各自のペースで学習・作業を進め、わからない箇所はメイドさんや参加者に質問し解決する寺子屋形式になります。

— では、その日によっての参加者やメイドさんの顔ぶれやスキルレベルによって、若干雰囲気が変化するのでしょうか?

そうですね、日によって違いがあります。交流タイムが盛り上がるときもあれば、交流タイムに入っても学習ムードが続き、メイドさんが悩んでいるエラーを参加者数人で解決策を検討しているときもあります。メイドさんが困っている部分を教える側になるっていうのは、自分への勉強にもなりますし、メイドさんからも「すごーい!」と賞賛されるので結構面白い光景に思います(笑) 逆に、交流タイムに入り参加者同士が仲良く交流している横でメイドさんがプログラムに集中している場合もあり、雰囲気はその時々によって異なります。

— これまでどういった方が参加されていますか?

男女比でいうと、女性の方は稀で、基本男性です。年齢層は20代が多いですね。内容はUnityの初心者向けとしていますが、プログラミング自体が本当の初心者の方はこれまでのところ少ないです。他言語を扱い企業で働いている方や、プログラミングではないですが3Dモデリングの経験がある方などが多いです。

スクール開始直後は多くのメディアに取り上げられたことで地方から参加してくださった方もいますね。また海外向けのメディアで記事にしてもらったこともあり、英語で「英語が話せるメイドはいますか?」といった問い合わせもありましたし、実際に台湾から参加した人もいました。

開催を継続するなかで常連のお客様も増えてきて、なかにはVRの世界で有名な方もいらしています。例えば、話題になったVR専用ゲーム「VRカノジョ」を製作・販売している企業に所属している東京大学出身の方などです。

別の世界へいけるVRの魅力

— 各自で進めるとのことですが、初参加の方には最初どういった対応をされているのでしょうか?

Unityを始めるまえに、「楽しい」とポジティブなイメージを持ってほしいので、まずVRを体験してもらい、「こんな楽しいものを作れるようになりますよ。そのためにがんばりましょう」という導入にしています。

最初はVRを簡単に作ってもらいます。すでに完成している山や海などの3Dモデルを自由に配置してもらい、VRゴーグルを身につけ自分で作ったVRの世界を実際見て体験してもらいます。初めてVRを体験する方に評判がとても良く、「やる気がでた」「二次元の世界にきてみたかった」などのコメントがでるほど盛り上がります。体験してもらったうえで、「Unityを勉強すると、こういったものを製作できるようになります」と伝えています。

— 他の言語と違った強みですよね。

そうですね、自由に動かせたり音をならしたりと書いたコードがゲームとしてわかりやすく表現されるので、プログラミングとしての入りはとても良いと思います。

もともと僕はゲームが趣味で、不登校時代もずっとプレイしていました。しかし、途中で飽きてしまったんです。やり尽くしてしまったのか、新作ゲームに対してすこしずつ絵が綺麗になるくらいで大して変わらないと思うようになりました。

そのタイミングで僕自身イベント主催など行うようになりゲームから離れていたのですが、VRだけはとても楽しく、そして次元が変わったと衝撃を受けました。これまでは、テレビ画面を見ていたのに、VRはそのテレビの枠の向こうに入れていますよね。ARもそうですが、VRには感動しました。

また、VRは遊んでいると自然と身体が動くので、運動にもなりますね。これまでのゲームは運動にならず身体に悪かったですが、今後の引きこもりはVRのおかげで身体が強い人が増えるかもしれませんね(笑)

重要なのは「その段階」へ到達するまでのモチベーション

— 若月さんから見て、メイドさんの存在はどう作用していると思いますか?

男性だけのなかに女性がひとり入るだけで場の雰囲気がガラッと変化することがありますよね?メイドさんが特別なことをしているわけではないのに、参加者同士を繋ぐ役割としてとても効果を出していると思います。いつのまにか男性の参加者同士がとても仲良くなってプライベートで会うようになっていることもあります。これはメイドさんの存在あってこそだと思います。

— 若月さん自身、プログラミング学習を開始当初は強い孤独感に苦しんだとのことですが、プライベートでも会うほど関係が深まる場になっていることが素晴らしいですね。

先ほども学習内容で話しましたが、チュートリアルなどをメインに利用し学習するので、現在は独自のオリジナル教材があるわけではありません。で教わったことでもあるのですが、『ググれば90%解決だ』という考え方で、プログラミングについてわからないことはネットで調べればたいていの情報はすでに残っていますし、もし見つからなくても質問サイトがあります。実際僕も調べることでプログラミングを覚えることができました。そうすると、重要なのは結局モチベーションだと思うのです。

プログラミング学習は自転車に乗れるようになる過程と一緒だと思っていて、最初はかならず転ぶものですが、それを「転ぶし乗れないし、嫌だ」と初期でやめてしまう人が多いと感じます。しかし、ある程度の段階まで理解できるようになった人はその後もかならず継続していけます。もう少しでその段階を乗り越えたであろう人が挫折する姿も見てきました。

逆に、基本的な知識が身につけば、エラーを翻訳し読み、ググってリファレンスを確認したり海外のサイトを見たりと問題を解決できるようになり、教えられるところがなくなると考えています。そのためには、仲間と一緒にプログラミングを楽しいと感じながらモチベーションを高め乗り越える必要があるのではないでしょうか。

— 今後の展望について伺えますか?

まず、現在 GIFTED WORKSのスペースを借りている状態なので、独自にテナントを借りたいです。そうすれば平日も自由にイベントを開催でき、例えば夜は普通のメイドバーを提供できます。

これまで僕はエンタメ寄りの事業経験が多いので、VRを取り扱うにしても製作したものをみんなで遊ぶといったことに広げていくことができると思っています。そのために、まずは自分のスペースを確保することですね。

また構想として、メイドさんや常連の参加者を巻き込んで開発会社を設立したいと本当は思っています。スクールではUnity学習を提供していますが、Unity自体は知らなくても他の言語を専門に働いている人が多く、まったくのプログラミング初心者の方は少なくみなさんすでに能力があります。メイドさんもスクールに関わるなかで能力が身についてきていますし、すでに数人は元々プログラミングができる人です。ならば、あとは僕が案件さえ受注できれば、開発会社化できると思います。

いまは参加者から参加費をいただいてメイドさんに報酬を支払っていますが、会社化できれば参加者だった方も報酬をもらうことができるうえにこれまで通りメイドさんに会える形になりますので、実現できればと思っています。

プログラミングの仕組みを、人間関係や普段の生活に置き換え考えてみる

— 今後プログラミング学習を開始される方や初心者の段階の方に向けて、メッセージをお願いします。

僕自身がプログラミング学習をしながら感じたことですが、プログラミングの考え方は現実の生活にも応用が効き、役立つと思っています。例えば、書いたコードにエラーがでた場合、問題の箇所を調べ解決していきますが、これ自体普段の生活にも通じる考え方ですよね。

もともと僕はなにごとにもあまり考えず「まずは行動に起こすこと」が大事だと思っていますが、プログラミング学習を始めたばかりの方は「エラーが出たら嫌だな」「大丈夫かな、これで合っているのかな」と、つい考えてしまう場合があるようです。

しかし、エラーになるかどうか実行してみないとわかりません。エラーが出たとしても、そこから「どうして失敗したのか?」と考え、またトライして、再度エラーが出たらまた考える。現実の行動と同じでプログラミングでは、間違いや失敗が怖いといっていたら前に進みません。

普段の生活にプログラミングの仕組みや方法を置き換えると、しっくりきたり、うまく人間関係がまわると思うようになりました。

例えば、コンピューターの機嫌が悪いからプログラムが動かないことはなく基本的にはそのプログラム自体に何か問題があるものです。同じように自分がダメだと感じたら他人のせいにせず自分のなかに問題があるのだと置き換えています。

また複数人で何かする際、衝突など起こり面倒な事態になる場合がありますよね。同じことを一緒に行うと、考え方の違いから「なぜそれができないの?」と葛藤が起こり、おかしなことになります。これをプログラミングに置き換えると、データをマージする場合など複数人で作業する場合は、担当を振り分け、何か問題が起きた場合もプログラムも小分けにし、「話しているレイヤーが違う」「定義をまず決めよう」といった話しになります。このように、プログラムの要素を持ち込むことで、僕はとてもしっくりしますし、良くなる場面が多いと感じています。

プログラミングができる人は、自分の生き方や人間関係に置き換えると、良い状態になると思いました。2020年からの義務教育への必修化も、そういった点でも、とても良いことだと思っています。

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